麻の実油ダイエット
【麻の実油】は、植物の「麻」の実からしぼった油のこと。この油が最近、「ダイエットに成功した」「アトピーが改善した」と数々の健康効果をあげています。
「それだけでなく、麻の実油にはドロドロの血液による高血圧や動脈硬化症、ガンなど多くの症状を改善してくれる栄養素の宝庫で、私は現代人の健康に欠かせない万能油だと思っています」
こう答えてくださったのは、麻を普及する活動を行うNPO法人ヘンプ製品普及協会理事の赤星栄志さんです。どうしてそのような効果があるのでしょうか?
「それは、麻の実油に大量に含まれている必須脂肪酸のおかげです。油(脂肪)というと「太る」「生活習慣病の温床になる」と悪いイメージばかりを持ってしまいがちですが、それは質が悪い油をとっているから。質が悪い油とは、日もちをよくするためにヘキサンやベンジンなどの化学物質を使っていたり、高熱処理で精製されたもの。天ぷらを揚げたあとの酸化した油もこの部類に入ります。
こうした油には、「狂った脂肪」といわれ、細胞と細胞膜の働きを狂わせてガンや心臓病、高血圧、関節炎など恐ろしい病気を引き起こす「トランス脂肪酸」が大量に発生しているのです。
必須脂肪酸を理想バランスで含む【麻の実油】
一方、麻の実油に含まれる必須脂肪酸は細胞膜やホルモンの原料になるもので、体を健康に保つための機能のほとんどすべてにかかわっている栄養素。体内でつくることができないため、食物からとらなくてはなりませんが、麻の実油は、その80%が必須脂肪酸で構成されているのです。
ただし、必須脂肪酸が多いというだけでは一概に健康効果が高いとはいえません。必須脂肪酸にはリノール酸などω−6系のグループとα−リノレン酸などω−3系のグループの2種類がありますが、これらは一方は適度に血液をかたくし、一方は血流をやわらげるといった違った働きをするため、両方をバランスよくとって初めて健康効果が生まれます。
WHO(世界保健機関)が推奨するリノール酸(ω−6系)とα−リノレン酸(ω−3系)の理想摂取バランスは4対1。これにいちばん近いのが麻の実油なのです。
しかも、他の植物油ではなかなかとれないα−リノレン酸は、青背の魚に含まれるEPAやDHAと同じタイプの油。健脳作用やダイエット効果が高く、血管の老化、ガン、更年期性うつ、骨粗鬆症などを予防してくれます。
食べ方にひと工夫でアトピーが改善した例も
麻の実油をとっている人のなかには、ひどいアトピーが解消した人が多いことも特徴的です。
「麻の実油には、アトピー性皮膚炎の人に不足しているγ−リノレン酸も2〜4%含まれています。γ−リノレン酸の不足は、糖尿病、高コレステロール血症、認知症、月経前症候群など多くの病気に関係しているといわれています。
そのため日常的にとりたいところですが、現代食でγ−リノレン酸を手軽にとれるのは麻の実油くらいなんです」 こう聞くと、麻の実油はまさに万能油だという気がしてきます。
「じつは、弱点もあるんです」とアドバイスをくださったのは、栄養士の福島きぬよ先生。
「必須脂肪酸は熱にたいへん弱く、加熱料理に使うと酸化して効果が失われてしまうのです。そうならないためには、サラダなどで火を通さず食べることが理想です。次ページでは、サラダ以外にも火を通さずに麻の実油を料理に使えるレシピをご紹介していますので、参考にしてくださいね」
普通の油とくらべて少し値が張るので、スプーンでそのままなめることもおすすめなのだとか。油は腸内での滑りをよくして、万病のもとの便秘を防いでくれるので、体の中から健康になりたいという人は、試してみる価値がありそうです。